デルタ航空の機内では、最近、かつてのようにリモコンがなくて、目の前の座席のパネルに直接指をふれてあれこれメニューを出すようになっている。が、ゲームのやり方がよくわからなかったので、映画を見た。
いくつか選択肢があったうえで、なんとなく「Labor Day」というものに目が行ったので、これを見ることにした。
結論からいうと、行きと帰りの合計で4回くらい見るほどはまってしまった。
ストーリーは、夫に離婚され、13歳の息子ヘンリーと二人暮らしの女性、アデルと、ある脱獄犯のからみで構成されている。
アデル演じるその女性はなんだか見覚えがあり過ぎると思ったら、やはりケイト・ウインスレットだった。あのタイタニックのヒロインを演じた女優だ。彼女ももう38歳かあ。夫に離婚され、人生に投げやりになって何の幸せもない、ただただ日をおくっている幸薄い女性にぴったりの表情をしていた。体は相変わらず豊満だったが、ともあれ、よい感じの中年女性となった。
息子と一緒にスーパーマーケットに買い物に行っているとき、盲腸の手術をして入院中の病院の窓から飛び降りて脱獄を図った男、フランクと鉢合わせる。フランクは、病院の窓から飛び降りた際にいためた足が回復するまで置いてほしい、と頼む。しかも、上は下着姿、右のわき腹からは手術跡の血がにじんでいる。
普通だったら、そんな見も知らぬ、あやしい男を家に連れて帰るわけはないだろ!と突っ込みが入るところだが、アデルは多分、フランクと相通じるものを感じたという設定なのだろう。この男を家に連れてきてしまう。家に連れてこられると、フランクは、「実は殺人罪で服役中だ」と告白する。ふつうここで逃げるか警察に通報するだろう!と突っ込みを入れたいところだが、なぜかアデルは彼をかくまい続ける。フランクの提案で、アデルに犯人隠避の罪をかぶせないよう、監禁状態に置かれてしまったという設定にするため、両手両足を椅子にしばるということも、何故かやらせる。
しかしながら、フランクは、古き良きアメリカの父親をほうふつとさせるよき家庭人で、家の中やアデルのポンコツ車の壊れているところを巧みに修理し、ヘンリーにキャッチボールを教え(そうだそうだよ、アメリカのお父さんは息子に野球を教えてやるもんだよ、しかし脱獄犯なのにやけに堂々庭に出ているなあ、と突っ込みたくなる)、さらには、近所からもらった大量の桃が、もうかなり傷んでいることを知ると、傷んでいない箇所だけ切り取り、桃のパイを作るのだ。一体、逮捕前はコックだったのか?と思わせる手際の良さで、パイの作り方を2人に教えていく。このパイがあとあとのストーリーで重要な役目を果たすことになる。
こんな良さそうな男が何故殺人罪を?と思ったら、彼の過去の結婚にあった。彼の妻は、いろいろな男と関係が絶えず、自分の子供を産ませたと思い、そう信じて結婚した彼女が相変わらず他の男たちと出歩くので、「あれは本当におれの子か?」と問いただすと、妻は、「あんたバカじゃない?」と返した。そのいいぐさにカッとなったフランクは、思わず妻を突き飛ばした。突き飛ばしたら、よほど打ち所が悪かったらしく、妻は死んでしまった。そんなに簡単に人間が死ぬか?と突っ込みを入れたくなったが、とにかくこれでフランクは服役した。
脱獄するくらいなら、また刑期が延びるだろうが!という突っ込みをいれたくなったが、そうしないとアデルに出会わなかったのだから、そういうことなのだろう。
とにかく突っ込みどころ満載であったが、このフランクを演じた俳優、ジョシュ・ブローリンが超はまり役なのだ。こんなふうに家や車の修理から野球を教えることから料理までそつなくこなす男っていいなあ、こんな男と結婚したかったわ、とほれぼれしてしまった。じーん。日本では「とらわれて夏」というダサい題名で公開されたそうだが、知らなかった。DVDが出たらもう一度見て見ようっと。
日本の話になるが、大河ドラマは、ストーリーがいまいちわかりにくいけれど、岡田准一が超イケメンなので、彼の顔を見たさに録画している。最近印象に残っていたのは、織田信長の正室役の内田有紀さんである。彼女もケイトと同じ38歳だが、時代劇もこなせるいい女優さんになったと思った。
そもそもこの正室は、生年も没年も名前もわかっておらず、斉藤道三の娘だということ以外、彼女の人となりを知る資料が歴史上ほとんど残っていない。「濃姫」、夫信長からすると「お濃」という名も、通称なのか司馬遼太郎が「国盗り物語」のなかで「帰蝶」とともに呼びならわした名称が以後定着したものなのかもわからない。
本能寺で織田信長とともに果てた、と言う設定は、国盗り物語で採用されているが、私はどうも、信長がわざわざ彼女を本能寺まで同行したとは考えにくいと思っている。
しかし、大河ドラマでは、そのほうが絵になるせいか、今回もその設定で正室が命を落としている。しかも最後は夫にとどめを刺されている。こんなのありだろうか。
ともあれ、内田有紀さん、いい女優さんになったなあ、というのが結論。