年末になり、私の勤務先も超忙しくなってきた。
Hecticというよりfranticalだ。営業は、2011年の売上ノルマを達成すべく、顧客への売り込みを上げるのに懸命だ。
で、契約が成立したら、次にこっちに来る。書類一式を整えなければならないのだが、この1~2週間、その件数がハンパではない。私などつい、
「ねえ、無理やり12月の売上に入れなくたって、来年1月の売上に入れれば、2012年のノルマが楽になると思わないの?」
と聞いてしまうのだが、営業的には来年の心配などしていられる状況と心境にないらしく、とにかく12月31日の契約であっても、血眼でノルマ達成に動いている。
そんなわけで、朝から晩までPCにかじりついて書類作成に没頭する。昼食の時間もないので、机の引き出しに秘蔵バナナを置いておき、むいて食べながら仕事をしている。
ったく、私の会社の場合、書類の過半は英語で書かなければならないので、へんてこりんな日本語で書いてこられる原案を、まともなビジネス英語に訳すのに苦労する。苦労するから当然1件仕上げるのに時間がかかるわけで、その傍ら、同僚の仕上げた書類をチェックし間違いを直してやり、その傍らまたインドからインド英語丸出しの(当たり前だけど)電話がかかってきて、対応にてこずったり、その傍ら「桃実さん、これお客さんに出さないといけないんですけど、チェックお願いできますか」と営業が案件を持ち込み、その傍ら、もっと熟考を要する案件を「どうしても12月のうちにやるのよ!!」と、ろくすっぽ考えもせずただただ単に猪のように突っ走ろうとするおばちゃん社員の説得もしなければならない。くそ。
さて、中にひとり、非常に嫌われている女性営業がいる。
性格は「きつい」のひと言で、直属上司を含め、人の言うことには一切耳を貸そうとしない。
とにかく「売れ、売れ」という社風の中、売上はまあまあ上げるほうで、よく複数年契約を取ってくるのはたいしたものだが、あのどぎつい性格でお客様に物をどう売っているのか、かなり理解に苦しむ。
で、この彼女は、いきなり私の部署に来て、
「これ、お客さんに明日までに出さないとならないんです。だからすぐやってください」
という。複雑ではない案件だったら、まあ、やってやらないでもないが、時として妙に複雑で込み入ったものを持ってくるのだ。 どうしても今日までにやる必要があるのか?と聞くと、
「お客様が必要なんです。絶対にお願いします」
という。私ら内勤の人間には、果たして本当にお客様との間でそのような会話があったかどうかは知る由もない世界である。「お客様」といえば水戸黄門の印籠のように、何よりも優先順位が強いと思い込んでいる節が多分にある。
たとえば、だが、ATMの前に、人がずらーーーっと並んでいるとする。
並んでいる人はみな平等のはずなんだが、誰か一人、
「あたし、急いでいるんです。先に使わせてください」
と言って誰かが割り込んできた、とする。
それは到底容認できるものではあるまい。
彼女のしていることは、おそらくそれに等しい。
こちらも全く融通を利かせないわけではないけれど、彼女の場合、他人の存在が見えていないのである。
主張ないしごり押しの強い人間には、おとなしくて理解のある人間より、「うるせえから」という理由でコチラが屈してしまうことが多々ある。生活保護の受給の申請に行くほうが、真面目に働いて税金をおさめる無名の民より押しが強く得をするように。
本当に仕事のできる営業さんは、12月のなかばで、もう
「今年の分の営業ノルマ達成しちゃいましたら」
と言ってあたふたしたいない。
偉い。