今月23日に書いた「4年に1度 魔の季節」というネタに、よくご訪問くださるfks_hiroさんから、
「アメリカ人は1/8とか5/32とか9/64とかの半端な分数を聞いてピンとくるのか、旦那さんに聞いてほしい」
とのコメントを頂戴した。これについては、私も、昔からず~~~っと「Questionマーク100個分」くらい疑問に思ってきたことなので、シメシメと思って1ブログ書くことにした。以下、私論(暴論?)ご容赦を。
まず最初に、アメリカという国であるが、この21世紀になっても、「十進法だけ」の国ではない。「12進法がまだまだ大好き」なのである。インチを見るがいい。12インチで1フィート(約30cm)を構成する。10インチで1フィート、ではない。
なぜ未だ12(ダース)が大好きかというと、遠いイギリス人のご先祖のしきたりを踏襲しているのだと思うが、2でも3でも4でも6でも割れて便利だからだ。こんな歴史から、分数で言う習慣が骨の髄までしみついているのだと私は思っている。
夫に、
「どうしてアメリカ人は分数が好きで小数が嫌いなの」
と聞いた。すると、
「分数のほうがintuitiveでいいじゃないか。0.66666666666というより、2/3と書いた方が良い。少数だと、端数の切り上げとか切り捨てとかをしないといけないし」
と言い張る。へえ~~。「Intuitive」とは、「直観的に理解できる」「ぱっと見でわかる」という意味だ。つまり、アメリカ人にとっては、小数はintuitiveではなく、分数の方がintuitiveという。びっくり。
アメリカ人は、0.5というより「half」という語を好み、0.25よりダントツに「quarter」という語を好む。アメリカ人の「quarter」に対する愛は日本人の想像を絶するもので、コインだって、1セント、5セント、10セントの次は、日本にないquarter、つまり「25セント」であるが、これは大変よく使われる。50セントコインってのは、昔、夫から1個もらって保存してあるが、市中に出回っているのを見たことがない。
私が続けて、
「Intuitiveなんて屁理屈。それは、1/3とか2/3みたいな循環小数のことでしょ。小数のほうが科学的じゃん」
と言っても、
「屁理屈じゃない。分数のほうが正確なんだ。8/7とか5/13なんて、小数でどう言うんだ。小数だったら、結局端数を切り捨てたり切り上げたりしなければいけないんだから、分数の方が正確だ」
などと言う。アメリカ人にとって、「端数の切り上げ、切り捨てはごまかしで不正確」で、「分数の方が小数より正確だ」と信じているのであった。ひえ~~~。これにもまた目からウロコであった。
「じゃあ、科学者たちも、この長さは1インチと1/3とか言うの」
と聞くと、
「科学者は違う。彼らや薬剤師は基本的にメートル法を使う」
という。
「ほら見なさい、それはつまり、ヤードポンドのような単位は科学的じゃないってことでしょ」
と聞くと、
「いいんだ。我々は科学者じゃない」
と言い張る。
「紙の厚さが0.08mmとか、水が0.05mlとか、ビタミンCが5mgとか、あなたの大好きなヤードポンド法ではどうやって測るの」
とたたみかけると、
「我々アメリカ人は、そんな細かいことは気にしない」
と、答えにならない答えを言う。
「じゃあ、1/9とか1/32とか1/64とか、そういうわけのわからない分母はどう採択しているの」
と聞くと、
「分母が大きい方が数を正確に表せるんだ(The bigger the denominator, the more exact)。分母は、その表示する目的を達成するために必要最小の数を選択するんだ(But you always use the lowest denominator that will do the job.)」。
はあ~~~~~。日本人の想像を絶するアメリカ人の「分数love」に、唖然茫然とした。私など(そして、大半の日本人にとってもそうだと思うが)、1/32なんて分数を見てもわからないから、すぐ電卓を持ってきて、1÷32を計算し、「約0.03125、か。なるほど」と、小数を見て初めてその数が具体的にいくつかを把握する(でしょ?)。しかし、アメリカ人にとっては1/32とあれば、それだけで完結した数で、それ以上、小数に直して理解しようと言う発想自体が無いらしいのだ。いまさらながら、旦那の回答に、腰が抜けた。
まだ引きさがりたくない私は、
「じゃあ、7/65引く39/371って、一瞬でできる?7/65と39/371って、どっちが大きくてどっちが小さいか、分数だったらintuitiveなの?小数ならすぐわかるよ」
と聞いた。すると、
「そんな分数は現実的ではない」
と逃げた。私は重ねて、
「じゃ、3/4たす1/10ってすぐ計算できる?小数だったら、0.75たす0.1で0.85ってすぐ出るのに。小数はなんて簡単でintuitiveなのかしら」
と言うと、
「けっ」
と言って話を打ち切ってしまった。
で、私の今日の結論(暴論?)だが、
(1)イギリスの始祖から、分数を使い、分数に適した「12進法」を使って生活してきたため、日常、分数を使うのが当たり前になっており、彼らは、分数を見る方が心地良さを感じる。
(2)分数の方が小数より正確だと信じており、小数以下の「不正確」な端数は、数字を見るのも大嫌い。
(3)メートル法における「ミリ」などの単位がないことも原因だと思うのだが、細かい数字を気にする習慣や機会がない。
(4) 2.54cmもある「1インチ」が長さの最小単位なことを考えても、そのおおざっぱさは推して知るべしであり、また、それ以下の細かさは、1/5でも1/8でも1/9でも、基本的に、「書いてあれば気持ちが落ち着」き、それら分数の細かい差異までをも「一瞬で理解できる」かどうかまでこだわっているわけではではない。
(5)それに反して、日本は支那から入ってきたとおり、小数点以下でも「6分5厘4毛7糸」と、おのおのの位の名前を漢字で持っていたため、メートル法の小数文化にごく簡単に馴染めた、と私は思う。英語では、小数点以下では、数字をそのまま読み上げる以外ないからなあ。漢字の文化が小数文化に寄与しているとしたら、なかなか意外で良い話。
以上でした。fks_hiroさん、旦那の理論が絶対正しいとか、彼の意見が全アメリカ人を代表しているとかいうわけではありませんが、少しでもご参考になればと思います。分母が9とか32とか64なんて、我々日本人にとっては、わけのわからぬものですが、夫の弁によれば、それら分母は、その業界の人らが考えるところの、適正、必要かつ最小の数字らしいのです。あなたのおっしゃるように、子供のころからず~っと分数loveで来ているので、それが当たり前で違和感がないのだと思います。
ちなみに、証券取引において、ドル以下を分数で表示することは、10年ほど前に廃止になったそうです。
その後、夫が
「Here is your 0.50 banana」
と言って、バナナを半分くれた。イヤミ。