マスク、血液型、華氏
豚インフルエンザのせいで、メキシコではマスクが品薄だという。
マスクといえば、アメリカ人は、花粉症とか風邪が流行る季節に日本に来ると、「日本にはお医者さんがこんなに沢山いる」と言って驚く、という話を聞いたくらい、一般人がマスクをつけるという習慣が無いらしい。
私の夫も、SARSなどが問題になっていたときにあちらにいく必要があったときは、日本からマスクを沢山買って持っていったっけ。そしてこの豚インフルエンザ発生下ではどうなのだろう。
「ねえ、アメリカには、マスクって売っていないの?」
と聞くと、
「今は、drug storeとかに売っていると思うよ」
とあいまいな返事。もともとこの人は、医学に激しく無知で、姉さんが医者の割には、この方面にあまりにも知識や関心が無い。生来丈夫だったことに加え、アメリカでは医療費がバカ高いので、日本のようにちょっとした病気で気軽に病院に行く習慣が無いのも拍車をかけているのかもしれない。それに、医学用語だってラテン語ばかりで、ぱっと読んで理解するには、かなりの学識を要するらしいのだ。たとえば、漢字で「関節炎」「肝炎」と書けば、関節の炎症、とか、肝臓の炎症、と、漢字を読める人ならすぐ見て取れるのに対し、英語だといきなり「arthritis」とか「hepatitis」なんてアルファベットを並べられても、ぱっと見ただけでは意味なんか分からないだろう。漢字という表意文字はなんと優秀であろうか。
ところで、余談だが、「医学に無知だ」という点では、彼の義父、つまり私の父親とそっくりで、この二人、生まれた国も人種も違うくせに、なんでこんなにそっくりなんだ?と思うところが多々ある。これに関してはまたいつか書こうと思っている。
さて、アメリカにはマスクをつける習慣が無いことを私が奇異に思い、「変な国だねえ」と言うと、夫は
「アメリカは、日本と違って、病気のときは外に出ないで家にいるんだ。日本みたいに病気でも会社を休めなくてマスクをつけて出る国と違うんだ」
などと、はなはだ時代錯誤的な反論をかました。ばかめ。我々日本人だって体調の悪いときは仕事を休むわい。アメリカには、花粉症がないとは思えないし、SARSや鳥インフルエンザがはやったときでも、一般人が予防的にマスクをつける習慣がないってのは、変だなあ。
夫は、私と結婚したとき、自分の血液型を知らなかった。これにはびっくりして、さっそく献血センターに連れて行って献血させ、タダで(←夫の場合、これが大事)血液型を判定してもらったが、欧米人はたいてい、死ぬまで血液型を知らない人だらけだと知って再び驚いた。また、夫に「あなたの平熱は何度くらい?」と聞いたこともあったけど、これも答えられなかった。そもそも家に体温計なんかあったことがない、という。彼の家は超がつく赤貧というかどケチ家庭であったが、いくら貧乏でも、子供のいる世帯に体温計がないなんて、日本では考えられない。それに、いまだに「華氏」という時代遅れの単位を使っているから、だいたい、百度を超えたら「高熱」と考えるのだ、という。子供が発熱したときに、1度どころか1分の単位で熱の上下を心配する日本の親たちに比べ、なんともおおざっぱな話だ。ちなみに、華氏の百度はセ氏だと大体38度弱である。
とにかく、日本では普通に売っているものが海外では案外売っていない、という例は多いだろうけど、その一つがアメリカのマスク、ということだ。


