曖昧に言う英語「おっぱい」「おしり」
遠い遠い英国人のご先祖は、体に関した語句を口にするのは非常に恥ずかしいことだと考えていたという。
たとえば、「おっぱい」と「おしり」という語。日本でもあまりフォーマルな場では言わないかもしれないけれど、英語民族のはばかり方と言ったらその比ではない。
日本人は「おしり」を英語では「Hip」と言うと思っている人が多いが、実際はさにあらず。
だいたい「bottom」(底)「backside」「behind」(後ろ側)「rear end」(後ろの終わり)などと言う。
「おしり」とキュートに言えてしまう日本語に比べ、なんと曖昧模糊に言わなければならないものか。
そのほかだと、しりのふくらみが2つあるので、数の単数、複数の区別に異様にうるさい英語では、「buttocks」(2つの臀部)などと言ったりもする。その他卑語も多々あるけれど、通常使う表現だと、かくのごとく「うしろ」とか「底」なんて、人体のその部分をはっきり指し示さない表現に終始している。
「おっぱい」になるとこれまた複雑で、日本の子供が「おっぱい飲みたい」「ママのおっぱい、やわらかいね」なんていうふうに、気軽に口に出して甘えられないらしい。私のアメリカ人の夫は「tits」と呼んでいるが、男性が使う俗語だろうか。「Breasts」というのが一番正しい(?)用語らしいが、あちらの子供が「breasts」なんて人前で言おうものなら、母親に「しー!」とたしなめられるらしい。日本だと、母乳を与えることを「おっぱいを飲ませる」と口に出しても、そう羞恥心を感じないけれど、あちらだと、「breast milk」なんて発語するのを避けるためか、「nursing」という一言で曖昧模糊にひっくるめてしまうらしい。Nurse、だぞ。Nurseといったら、他にも「看護師」という名詞があったり、「養生する、養育する、看護する」などといった、病人をケアするときにこそ使いそうな動詞として使われたりする。それを「授乳する」という意味に無理無理?持っていかなければならないほど、「breast」という言葉を口に出さぬよう努力しなければならないものなのか。
ちなみに、私のアメリカ人夫は、日本語の単語の中では、「おしり」と「おっぱい」は「好きな日本語ベストテン」に入っている。単にエッチなだけかもしれないが、私も、両方とも愛らしい単語だと思う。英語民族でなくてよかったなあ。

